ヒーローズ・ジャーニーは、神話学者ジョゼフ・キャンベルが提唱した物語の構造で、主人公が旅を通じて自己変革を達成するプロセスを描きます。
主人公はまず日常の世界から呼び出され、未知の世界へと旅立ちます。
そこで彼は試練に直面し、敵を倒し、報酬を得ます。
その後、彼は日常の世界に戻り、得た知識や経験を共有します。
ヒーローズ・ジャーニーは、映画や文学、そして自己成長やコーチングの分野でも広く活用されています。
ヒーローズ・ジャーニーと人生脚本
人生脚本は、個々の人が自分自身の人生について持つストーリーやパターンのことを指します。
ヒーローズ・ジャーニーは、その普遍的なテーマと構造により、人生脚本を変えるナラティブ・アプローチとして有効です。
この教科書では、ヒーローズ・ジャーニーを活用して、クライアントの人生脚本を敗者の脚本(ドミナントストーリー)から勝者の脚本(オルタナティブストーリー)に変容させることが可能です。
ヒーローズ・ジャーニーの理解
ヒーローズ・ジャーニーの各ステップを理解することは、クライアントの人生脚本を理解し、それを変えるための第一歩です。各ステップは、自己の成長と変革の過程を反映しています。
参考動画01
参考動画02
英雄の旅:人生を変革する8つのステップ
人生は一種の旅であり、その旅は多くの場合、我々が望む変化や成長をもたらす機会となります。
しかし、その旅をどのように進めるべきか、またはどのように自己を変革するべきかについては、しばしば混乱や不確実性に直面します。
ここでは、神話学者ジョゼフ・キャンベルが提唱した「ヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)」という概念を用いて、人生の旅を進めるための8つのステップを紹介します。
1. 天命の呼び声(Calling)
物語の始まりは、主人公が自身の使命や目的を見つけるところから始まります。これは、人との出会いや予期せぬ出来事、または自分の内なる声によって引き起こされます。
2. 旅の始まり(Commitment)
主人公は旅を始める決断を下します。しかし、この段階では「自分の進む道は本当にこれでいいのか」という疑問や不安が生じることがあります。最終的には、現状に留まるか、新しい世界へ進むかという選択を迫られます。
3. 境界線を越える(Threshold)
旅を始める決断をした主人公は、最初の試練に遭遇します。これは、新しい世界へ踏み出す勇気や覚悟があるかどうかを試されるテストです。
4. メンターとの出会い(Guardians)
新しいステージに足を踏み入れた主人公は、さまざまな新しい体験を重ね、その過程で師やメンターと出会い、学び、成長を遂げていきます。
5. 悪魔との対決(Demon)
旅を続ける主人公は、ここで最大の敵や試練に遭遇します。これは、物理的な敵や強力なライバル、または自分自身の内面にある恐怖や不安など、様々な形で現れます。
6. 変容(Transformation)
主人公は試練を克服し、英雄へと変わります。これは、自己の内面的な成長や変化を象徴しています。
7. 課題の完了(Complete the task)
一つの課題を終えた主人公は、これまでの旅を振り返り、その過程で経験した苦悩や葛藤、手放したこと、勇気や挑戦、そして出会った師やメンター、仲間や愛する人を通じて、その旅の意味を整理し、学び・体験・悟りを統合します。
8. 故郷への帰還(Return home)
主人公は旅を終え、元の世界に戻ります。しかし、この時の主人公は、旅を始める前の自分とは異なる、成長した自分自身です。
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これらのステップは、人生の旅を進めるための一つのフレームワークとなります。
それぞれのステップは、人生の様々な段階や経験を象徴しており、自己の成長や変革を促す機会を提供します。
この英雄の旅を通じて、自分自身の人生の旅を見つめ直し、自己の成長や変革を促すきっかけを見つけることができるでしょう。
ナラティブアプローチや実際のセッションで活用するポイント
- 彼らの語りを傾聴し、対話のテーマ・コンテクストにおいて、現在どのプロットにいるのか、話しているのかなどを捉える
- 無理に物語を進めようとしないこと
- 彼らの物語を尊重する姿勢
- 彼らのドミナントストーリーに対応するオルタナティブストーリーをイメージする
- メタファーを使い、イメージしたオルタナティブストーリーをそれとなく伝える
- 一気に伝えようとせず、タイミング見計らって、小出しでもOK(基本、傾聴の原則)