1.1 コースの目的と概要
1.1.1 そもそもカウンセリングとは何か
カウンセリングとは、クライアントが抱える心理的な問題や困難に対処するために、専門家であるカウンセラーが寄り添い、対話を通して解決策を探していくプロセスです。
1.1.2 本コースの目的
本コースは、ACT(受容とコミットメント療法)と愛着理論を統合したアプローチを用いて、心の安定を築き、より充実した人生を送るための実践的なスキルを習得することを目的としています。
1.1.3 ACTと愛着理論の基本的な理解
- ACT (Acceptance and Commitment Therapy): 受容とコミットメント療法。苦痛な感情や思考を受け入れ、自分にとって大切な価値観に焦点を当て、行動を起こしていく療法です。
- 愛着理論: 人間が他者との関係を通して形成する愛着スタイルが、心理的な安定や人間関係に大きな影響を与えるという理論です。
1.2 ACTの基本概念
1.2.1 ACTの定義と歴史
ACTは、1980年代にアメリカで生まれた新しい心理療法です。従来の心理療法では、問題となる思考や感情を変化させることに焦点を当てていましたが、ACTはそれらを「受け入れる」ことを重視し、自分にとって大切な価値観に基づいた行動を起こすことを目標としています。
1.2.2 ACTの6つのコアプロセス
ACTでは、以下の6つのコアプロセスを通して、心の安定と成長を促進します。
- 受容 (Acceptance): 苦痛な感情や思考を抵抗なく受け入れること。
- 認知的解離 (Defusion): 思考を客観的に見れるようになり、思考に振り回されないようにすること。
- 今この瞬間 (Present Moment): 現在に意識を向け、過去の後悔や未来の不安に囚われないようにすること。
- 自己としてのコンタクト (Self as Context): 自分自身を客観的に見つめ、自分の価値観や目標を理解すること。
- 価値 (Values): 自分にとって本当に大切なこと、人生で追求したい価値観を明確にすること。
- コミットメント (Commitment): 価値観に基づいた行動計画を立て、実行すること。
1.3 愛着理論の基礎
1.3.1 愛着スタイルとは何か
愛着スタイルとは、幼児期に親との関係を通して形成される、他者との関わり方や心の安定に影響を与えるパターンです。
1.3.2 安定型、回避型、アンビバレント型の愛着スタイル
愛着理論では、主に以下の3つの愛着スタイルが提唱されています。
- 安定型: 親から安定した愛情と安心感を得て育った人が形成する愛着スタイル。他者との関係を築きやすく、心の安定度が高い傾向があります。
- 回避型: 親から十分な愛情や安心感を得られず、感情表現を抑えることを学んだ人が形成する愛着スタイル。他者との距離を置きがちで、感情的な繋がりに抵抗を感じることがあります。
- アンビバレント型: 親から愛情が不安定であったり、予測不能であったりする環境で育った人が形成する愛着スタイル。他者との関係に不安を感じやすく、常に相手の愛情を求める傾向があります。
1.3.3 愛着障害の種類と症状
愛着障害とは、幼児期に親との関係がうまく築けず、愛着形成に問題が生じた状態です。不安定な愛着、回避型愛着、混乱型愛着などの愛着障害があり、それぞれの特徴的な症状が現れます。
第1章のまとめ
本章では、ACTと愛着理論の基本的な理解を深めました。ACTは、心の安定を築くための具体的なスキルを提供し、愛着理論は、私たちの人間関係に影響を与える心の働きについて説明します。
第2章以降では、ACTの6つのコアプロセスを詳しく解説し、愛着スタイルに合わせたACTアプローチについて学びます。
※ 次章に進む前に、以下のワークを試してみてください。
ワーク1:
- 自分にとって大切な価値観を3つ挙げてください。
- これらの価値観を実現するために、どのような行動をとることができますか?
ワーク2:
- あなた自身の愛着スタイルについて考えてみてください。
- 自分の愛着スタイルが、他者との関係や心の安定にどのように影響を与えていると思いますか?
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