ACT (Acceptance and Commitment Therapy: 受容とコミットメント療法) は、心の安定を築き、より充実した人生を送るための実践的なアプローチです。この章では、ACTの基礎的な概念と技法を、愛着スタイルと関連付けて解説していきます。
3.1 受容と認知的解離
3.1.1 クライアントが持つネガティブな感情の受容
愛着スタイルは、私たちが人間関係をどのように経験し、どのように感じるかを大きく左右します。不安型愛着の人は、常に相手に愛されているのか不安を感じ、回避型愛着の人は、親密さを恐れて感情表現を抑制するかもしれません。これらの感情は、しばしば苦痛やストレスをもたらします。
ACTでは、これらのネガティブな感情を受容することを重視します。受容とは、感情を否定したり、抑えつけたりすることではなく、ありのままに受け入れることです。感情は、私たちが生きている限り、常に存在するものです。
3.1.2 認知的解離の技法とその応用
認知的解離は、感情や思考から距離を置くことを学ぶ技法です。
- 観察者視点: 自分自身を客観的に観察する視点を持つことで、感情や思考に巻き込まれないようにします。
- 名前をつける: 感情や思考に名前をつけることで、それらを客観的に認識し、距離を置くことができます。
- メタ認知: 自分の思考や感情について思考することで、それらをより深く理解することができます。
これらの技法は、愛着スタイルによる苦痛な感情に囚われず、より客観的に自分自身を観察するのに役立ちます。
3.2 マインドフルネスと現在の瞬間
3.2.1 マインドフルネスの基本
マインドフルネスとは、現在の瞬間に意識を向け、非判断的に観察することです。過去の後悔や未来への不安に囚われることなく、今この瞬間に集中することで、心を安定させ、より深い自己理解を得ることができます。
3.2.2 現在の瞬間に集中する方法とその効果
- 呼吸に意識を向ける: 呼吸に意識を向けることは、マインドフルネスの基本です。呼吸のリズムや感覚に集中することで、雑念を払い、心を落ち着かせることができます。
- 五感を意識する: 周囲の音、香り、味、視覚、触覚を意識することで、現在の瞬間に意識を向けることができます。
- 身体スキャン: 自分の身体に意識を向け、各部位の感覚に注意を払うことで、緊張や不快感を認識することができます。
マインドフルネスは、愛着スタイルによる不安や恐怖、過去のトラウマに囚われないようにするのに役立ちます。
3.3 自己としてのコンタクトと価値の明確化
3.3.1 自己理解の促進
ACTでは、自分自身について深く理解することを重視します。自分自身の価値観、目標、強み、弱みを理解することで、より自分らしく生きることができます。
3.3.2 クライアントの価値観を明確にするためのワーク
- 価値カード: さまざまな価値観が書かれたカードを使用し、クライアントにとって重要な価値観を特定します。
- 価値のリスト: クライアントに自分の価値観を書き出すように促します。
- 価値に基づいた目標設定: クライアントの価値観に基づいた目標を一緒に設定します。
3.4 価値に基づく行動の促進
3.4.1 価値に基づいた目標設定
ACTでは、単に症状を軽減するのではなく、クライアントの価値観に基づいた目標設定を重視します。
- 価値観に沿った目標: クライアントの価値観に基づいた目標を設定することで、目標達成へのモチベーションを高めます。
- 具体的な行動計画: 目標達成のための具体的な行動計画を立て、クライアントの行動変容をサポートします。
3.4.2 クライアントの行動変容をサポートする技法
- コミットメント: クライアントが目標達成にコミットできるようにサポートします。
- 障害への対応: 目標達成の妨げとなる障害を一緒に克服するための戦略を立てます。
- 成功体験: 小さな成功体験を積み重ねることで、クライアントの自信を高めます。
この章では、ACTの基本的な概念と技法を学び、愛着スタイルと関連付けながら、心の安定を築くための実践的なスキルを習得することができます。
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