3.1 トランザクションの分類

トランザクションとは?

トランザクションとは、2人以上の人間がお互いにやり取りするコミュニケーションの単位のことです。私たちは、言葉、表情、仕草、態度など、様々な方法でコミュニケーションを図り、相手にメッセージを送信しています。このメッセージのやり取りを、交流分析では「トランザクション」と呼びます。

トランザクションの分類

トランザクションは、そのやり取りのパターンによって、大きく3つの種類に分類されます。

3.1.1 補完的トランザクション (Complementary Transaction)

定義: 補完的トランザクションとは、送られたメッセージと受け取ったメッセージが一致し、スムーズにコミュニケーションが進むやり取りのことです。

特徴:

  • 平行なコミュニケーション: 送信者と受信者のエゴステートが平行で、互いに理解し合っている状態です。
  • スムーズな流れ: メッセージがスムーズに伝わっていき、会話が自然に続きます。
  • 良好な関係: 補完的トランザクションは、お互いの理解と共感を生み出し、良好な関係を築くのに役立ちます。

例:

  • 上司:「この資料、明日までに提出してくれ。」 部下:「了解しました。」
    (上司の大人エゴステートから、部下の大人エゴステートへのメッセージ)
  • 友人:「来週、映画見に行かない?」 友人:「いいね!行こう!」
    (友人の子供エゴステートから、友人の子供エゴステートへのメッセージ)

3.1.2 交差するトランザクション (Crossed Transaction)

定義: 交差するトランザクションとは、送られたメッセージと受け取ったメッセージが一致せず、コミュニケーションが途絶えてしまうやり取りのことです。

特徴:

  • エゴステートのずれ: 送信者と受信者のエゴステートが平行ではなく、ずれが生じています。
  • コミュニケーションの断絶: メッセージがうまく伝わらず、会話が途絶えがちです。
  • 関係の悪化: 交差するトランザクションは、誤解や衝突を生み出し、関係が悪化する可能性があります。

例:

  • 上司:「この資料、明日までに提出してくれ。」 部下:「なんでいつも私だけこんなに忙しいの?」
    (上司の大人エゴステートから、部下の子供エゴステートへのメッセージ)
  • 友人:「来週、映画見に行かない?」 友人:「私、その日は予定があるの。」
    (友人の子供エゴステートから、友人の大人エゴステートへのメッセージ)

3.1.3 隠れたトランザクション (Ulterior Transaction)

定義: 隠れたトランザクションとは、表面上は普通のやり取りに見えるのですが、実際には別のメッセージが隠されている、複雑なコミュニケーションのことです。

特徴:

  • 二重のメッセージ: 表面上は一種類のメッセージを送っているように見えますが、実際には別のメッセージが込められています。
  • 意図の隠蔽: 送信者は、自分の本当の意図を隠そうとしています。
  • 複雑な関係: 隠れたトランザクションは、誤解や不信を生み出し、関係を複雑化させることがあります。

例:

  • **妻:「今日は疲れたから、早く寝たいわ。」 夫:「わかったよ、じゃあ、おやすみ。」 (表面上は普通の会話だが、夫は妻が「何かして欲しい」という隠れたメッセージを感じ取っている)
  • **友人:「最近、忙しい?」 友人:「うん、ちょっと。」 (表面上は普通の会話だが、友人は「何か相談したいことがある」という隠れたメッセージを送っている)

トランザクションの理解の重要性

トランザクションを理解することは、コミュニケーションを円滑に進めるために非常に重要です。特に、交差するトランザクションや隠れたトランザクションは、誤解や衝突を生み出す原因となりやすいので、注意が必要です。

トランザクションを意識することで、私たちは、自分の言葉や行動が相手にどのように伝わっているのかを理解し、より効果的なコミュニケーションをとることができるようになります。

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