4.2 よくあるゲームのパターン分析

ここでは、交流分析でよく見られる4つのゲームのパターンについて、詳しく解説していきます。

4.2.1 "なぜいつも私を怒らせるの?"

  • 役割: 被害者、迫害者
  • 目的:
    • 被害者:
      • 同情や注意を引きたい
      • 自分の怒りを正当化したい
      • 相手に責任を押し付けたい
    • 迫害者:
      • 優越感を得たい
      • 相手に支配力を示したい
      • 自分自身の怒りを解消したい
  • ペイオフ:
    • 被害者:
      • 周囲の同情や注意を得ることで、自己肯定感を得る
      • 怒りの感情を正当化することで、心の安定を得る
    • 迫害者:
      • 相手を支配し、コントロールすることで優越感を得る
      • 怒りの感情を発散することで、ストレスを解消する
  • 例:
    • 妻が夫に何かお願いした際に、夫がそれを拒否すると、妻は「なぜいつも私を怒らせるの?」と反論する。
    • 部下が上司に意見を述べると、上司は「なぜいつも私を否定するの?」と反発する。
  • ゲームの構造:
    • 被害者は、わざと迫害者の怒りを誘発するような言動をする。
    • 迫害者は、被害者の言動に怒りを感じ、反発する。
    • 被害者は、迫害者の怒りを利用して、同情や注意を引き出す。
  • 回避方法:
    • 自分の感情や行動パターンを理解する。
    • 相手に怒りをぶつけるのではなく、冷静にコミュニケーションをとる。
    • 相手に責任を押し付けずに、自分の責任を認める。

4.2.2 "かわいそうな私"

  • 役割: 被害者、救世主
  • 目的:
    • 被害者:
      • 同情や助けを得たい
      • 責任を回避したい
      • 自分自身の無力さをアピールしたい
    • 救世主:
      • 自己肯定感を得たい
      • 相手を助け、感謝されたい
      • 優越感を得たい
  • ペイオフ:
    • 被害者:
      • 周囲の同情や助けを得ることで、自己肯定感を得る
      • 責任を回避することで、心の安定を得る
    • 救世主:
      • 相手を助け、感謝されることで、自己肯定感を得る
      • 相手を助けることで、優越感を得る
  • 例:
    • いつも体調が悪いと訴える人が、周囲から心配され、世話を焼かれる。
    • 仕事でミスをしても、いつも「私は不器用だから」と自分を正当化し、周囲の同情を引き出す。
  • ゲームの構造:
    • 被害者は、わざと弱音を吐いたり、悲劇的な状況をアピールしたりする。
    • 救世主は、被害者の状況を見て、同情したり、助けたりする。
    • 被害者は、救世主の助けによって、自分のニーズを満たす。
  • 回避方法:
    • 自分の行動パターンを理解する。
    • 常に弱音を吐くのではなく、積極的に行動する。
    • 周囲の助けに頼りすぎるのではなく、自分自身で解決できることは解決する。

4.2.3 "見返りを求める"

  • 役割: 与える人、受け取る人
  • 目的:
    • 与える人:
      • 感謝や見返りを期待する
      • 自分自身の価値や存在感を確認したい
      • 相手に支配力を示したい
    • 受け取る人:
      • 世話をしてほしい
      • 自分のニーズを満たしてほしい
      • 自分自身の無力さをアピールしたい
  • ペイオフ:
    • 与える人:
      • 相手に感謝されることで、自己肯定感を得る
      • 相手に恩を売ることで、支配力を強める
    • 受け取る人:
      • 世話をすることで、自分のニーズを満たす
      • 自分の無力さをアピールすることで、周囲の同情を得る
  • 例:
    • いつも人に親切にして、その見返りを期待する。
    • 何かをしてもらったら、必ずお礼を言ったり、何かしらの見返りを要求したりする。
  • ゲームの構造:
    • 与える人は、相手に何かを与え、感謝や見返りを期待する。
    • 受け取る人は、与えられたものを受け取り、感謝の気持ちを示したり、見返りを要求したりする。
    • 与える人は、感謝や見返りを得ることで、自分の価値や存在感を確認する。
  • 回避方法:
    • 自分の行動パターンを理解する。
    • 無償の親切や助けをすることを学ぶ。
    • 相手に感謝されたとしても、見返りを期待しない。

4.2.4 "私はいつも正しい"

  • 役割: 賢者、愚者
  • 目的:
    • 賢者:
      • 自分の知識や経験を認められたい
      • 相手にアドバイスを与え、優越感を得たい
      • 自分自身の価値や存在感を確認したい
    • 愚者:
      • 賢者のアドバイスに従いたい
      • 自分自身の無力さを認めたい
      • 責任を回避したい
  • ペイオフ:
    • 賢者:
      • 相手に認められ、尊敬されることで、自己肯定感を得る
      • 相手にアドバイスを与えることで、優越感を得る
    • 愚者:
      • 賢者のアドバイスに従うことで、安心感を得る
      • 自分自身の無力さを認め、責任を回避することで、心の安定を得る
  • 例:
    • いつも自分の意見を押し付け、周りの意見を聞き入れようとしない。
    • 自分のアドバイスに従わなかった場合、相手に責任を負わせようとする。
  • ゲームの構造:
    • 賢者は、自分の知識や経験を披露し、アドバイスを与える。
    • 愚者は、賢者のアドバイスに従い、感謝の気持ちを示す。
    • 賢者は、愚者の感謝によって、自分の価値や存在感を確認する。
  • 回避方法:
    • 自分の行動パターンを理解する。
    • 常に自分の意見を押し付けるのではなく、相手の意見にも耳を傾ける。
    • 自分のアドバイスに従わなかったとしても、責めたり、責任を負わせたりしない。

これらのゲームのパターンは、私たち自身の行動パターンや人間関係を理解する上で非常に重要です。ゲームに気づき、その構造を理解することで、私たちはより建設的なコミュニケーションを築き、より良い人間関係を築くことができます。

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